ジャークベイト私録1 ー ロングAこそ基本にしてマスト
私のジャークベイト私史は幅が狭く表層に特化したものでしかない。
それは主に、ロングAとのつきあいの変遷に終始する。
「ミノー」でなく「ジャークベイト」と呼んでいることに留意してほしい。
古典派の雲の上のバサーからも殿堂入りクラスとして認められる
不朽の名作、不動の定番として挙げられるジャークベイトといえば、
ボーマーのロングA、スミスウィックのラトリン・ローグあたりだろう。
マッディのロングA、クリアのローグとよく言われるが、
私の場合マッディなフィールドがメインだったからということもあり
ロングAを万能最強ジャークベイトとしてメソッドを確立していったから
ローグとは結局「出会わず終い」となった。
もっとも潜らないARシリーズの数本は
ストック用タックルボックスの二軍三軍として
時たまのクリア・フィールドへの出撃時以外には出番がないまま今に至る。
タダ巻き時の魅力的なロールや例の独特な表面処理理論など
十分掘り下げる理由のあるルアーであるはずだが、
私に限ってはその暇も「ならでは」の使う理由もなかった、ということだ。
他のジャークベイトも試さなかったことはない。
当時の大人気定番ベビーシャッド、
ラパラのその名もハスキー・ジャーク、
かわいさに惚れた1本だけの中古のサンダー・スティックJr.(旧型)
クランクベイトながら一時期ジャークで実績を上げたシャッドラップ、シャロー・シャッドラップ、
と、ジャーキング/ジャークベイティングの探求の過程で
結局最終的にはロングAがあれば事足りる、という結論に至ったのだ。
もちろん、私の知らないジャークベイティングの領域があり、
たとえば水深40cm以深なら、殊に水深1m2mにもなれば
田辺、今江、加藤、伊東、並木...の各氏の試みや
ラパラのハスキー・ジャークやXラップ以降の試みにも
別の意義と領域があることだろう。
そんな前置きのおことわりを十分したところで
私のジャークベイト私録と試論を始めよう。
それは初心者・初級者にはもちろん
中級者、さらにはジャークベイトを得意としてない上級者にさえ
有益なものになり得るだろう。
実を言えば私は、そのバス釣り史の初期、
ロングAをダメなルアーだと思いこんでいた。
始めて10ヶ月めの5月の小貝川、
牛久のプール下流東岸を下った「天国ワンド池」で
初期の無差別バカ買いで入手していたロングA - 14Aを泳がせ
そのニョロニョロした変なウォブリングにガッカリしたものだ。
その当時の私はまだ「ミノー」と「ジャークベイト」のちがいに自覚的でなく、
したがってロングAは、とても釣れそうにないのったりしたウォブルで泳ぐ
アメリカ流の大味なプラスティック・ミノーでしかなかったわけだ。
これはおそらく、多くの似たようなバサーが予備知識なくロングAに接した時に抱きがちな、
もっともではあるものの間違った視点ゆえの誤解である。
ロングAはミノー、クランキング・ミノー、泳ぎの魅力でただ巻きで食わせるミノーではない。
徹底してジャーク(さらに言えばトゥイッチ)で、ジャークベイティングの他メソッドのすべてで
ただ巻きルアーで食わないバスに食わせるルアーなのだ。
ジャークベイトとしてのロングAのポテンシャル、ひいてはジャークベイティングに目覚めたのは
ひょんなきっかけ、ヒョウタンからコマ的、怪我の功名的な思いがけないきっかけによるものだった。
2、3年めのある時期、「本チャン」の釣りに出かけない週の節約術の一環として
多摩川釣行を試していた時期があったのだが、
釣果が望めるかどうかもわからない釣りでルアーを根がかりロストするのはたまったものじゃない。
そんなセコくも合理的な理由から、
水面付近で使うルアーとしてバズベイト、ロングA、ザラ等の
ロクに知らず使ったことも実績もないルアー群を使うことにしていたのだ。
この消極策は驚くべき結果をもたらした。
(ラトリンラップによるニゴイ以外には)釣果こそ1匹も上がらなかったものの
バズとロングAへのバイトによってその後のこのルアー・カテゴリの基本メソッドが決定したのだ。
バズは水しぶきやピロロロ音を上げることなく水面直下をトロトロ巻き、
ロングAはただ巻きせず、グイグイっとジャーク、チョンチョンとトゥイッチ。
そのバイトが高確率でコイのバイトだったとしても、生きた魚の反応にはちがいない。
この2つの有効メソッドの予感はその後、
「本チャン」フィールドの小貝川は牛久のプールと道仙田であっけなく痛快なまでに実証された。
バズベイト(ゲーリー・ヤマモト)については今はおこう。
最初の、少なくとも記憶にある最初のロングAでの釣果は
秋の減水期にある道仙田でだった。
夏よりは水色が澄み気味の
北詰めの、水田につながるあのイン/アウト水門から対岸に透けて見えるゴロタまわり。
その少し南、知る人なら誰もがソレとわかるあの大ヘラ台。
ロングA - 15A、ブルー/チャート・フラッシュが
まだド素人のジャークベイターの私に4ヒット2キャッチをもたらした。
大ヘラ台から北方向のオープンの中層 ― 推定40cm前後をかなり力まかせに連続ジャークし
ごくたまにヒラッヒラッとフラッシュだけが閃くのを見て、
あの「巨大」な15Aが、バスにはずっと華奢でステルスでプレッシャーの弱い、
正体不明でひ弱で小さく細い、気を引くベイトに見えるにちがいない、と感じた。
その後の私のジャークベイティングは
より表層で、より弱めに、よりフィネスでステルスに、という方向に向かうが、
この時の開眼がずっと変わらぬ基本になっている。
いかにも使いやすく、また使いどころもヴァーサタイルなのは14Aだが、
手早く端的にジャークベイト「ならでは」の釣りを実感するには15Aが上だろう。
長くぶっとく大味な造りのプラスティック製の量産安物アメリカン・ルアーということで
知らない人には敬遠されるのも自然なことだが、
古くからの別格の大御所バス釣り有名人諸氏にロングAを否定する人はいない。
釣れるルアー ― 釣れるクランク、釣れるバイブ、釣れるスピナベ、釣れる新ジャンル・ルアーを
あれこれ買って試す余裕のある人なら、
まず1本めのジャークベイトとしてロングAを買ってけっして損はしない。
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